こんな方向けに書きます。
すぐにカッとなる→後で自己嫌悪→でもまたカッとなる、のループで自分に嫌気が差している短気な方でも、怒りというものを正しく認識できれば怒りをコントロールできます。
怒りをコントロールできれば割と本気で人生が変わります。
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目次
アンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメントは1970年代にアメリカで始まったとされる、怒りの感情と上手く付き合うための心理トレーニングです。
「怒らない方法」ではなく「怒りをコントロールする方法」を学ぶという点が、よくあるメンタル本とは一線を画すところです。
怒りをコントロールできれば、怒るべきところでは節度を持って怒り、怒る必要のないところでは怒らなくて済むので、高確率で人生が好転します。
この記事では、
ステップ①:怒りのメカニズムを知る
ステップ②:個々の怒りの癖を知る
ステップ③:怒りの傾向・程度を知る
最後:ステップ①〜③を踏まえ、日常生活で行う3つの対処法
という流れで、怒りをコントロールする術をお伝えします。
結構ボリュームがありますが、怒りをコントロールできるという立派な対価があるので頑張って読んでみてください。
(※個々の怒りの癖の項目は自分に該当するところだけ読んで他は読み飛ばすのでOKです)
ステップ①:怒りのメカニズムを知る
まずは怒りのメカニズムを知ってください。
押さえるべきポイントは3点です。
①怒りは第二次感情
怒りとは、その前に別の感情があり、二次的に湧き上がる感情です。
例えば、コップを思い浮かべてください。
このコップに、つらい、苦しい、寂しい、悲しい、不安といった第一次感情が溜まっていき、それが溢れたら“怒り”という感情が湧いてくる、といったイメージです。(そして怒っている人は、第一次感情を理解して欲しくて怒っている事がほとんどです)
このコップを大きくすることで、些細な事でカッとならない自分になれます。
②怒りは瞬間的に生まれるものでは無い
イメージでは、怒りは突発的な感情だと思われるかもしれませんが、実際には違います。
①出来事にあう
↓
②意味づけを行う
↓
③怒りの感情が生まれる
こういったプロセスを踏んで“怒り”という感情が生まれます。
同じ出来事に遭遇しても、人によってこの②の意味づけが異なるため、それを楽しむ人もいれば怒る人もいる、というわけです。
この意味づけとは、言い換えるとフィルターやメガネのようなもので、それが曇っていたり色が付いていたりすると物事をありのままに受け止められないという事になります。
すぐに怒ってしまったりひねくれた捉え方をしてしまう人は、この部分をクリアにするよう心がけるといいと思います。
③怒りの正体は「べき」
怒りとは、自分が信じている「こうあるべき」が目の前で裏切られた時に発生します。
例)電車がこなくてイライラ→電車は定刻通りにくるべきだ
以下の3つの点を押さえ、「べき」とうまく付き合えればアンガーマネジメントは上達します。
【①「べき」は本人にとっては全て正解】
「べき」は人によって定義が違うが、少なくとも本人はそれを正解だと思っている
【②「べき」は程度問題】
待ち合わせの際に、「5分前には着くべきだ」という人もいれば「ちょうどでいい」という人もいる
【③「べき」は時代や立場で変わる】
昔の子供は「知らない人でもきちんと挨拶をするべき」と教えられていたが、今の子供は防犯上の観点からも「知らない人とは接するべきではない」と教えられている
以上のように、「べき」とは人や時代が変われば様相も程度も変わるものだと認識し、不必要にイラつかないようにするとアンガーマネジメントは上達します。
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ステップ②:怒りの癖を知る
ここでは、自分がどういう人間なのかを知り、怒りの癖を認識しましょう。
下記の質問に、
全くそう思わない 1点
そう思わない 2点
どちらかというとそう思わない 3点
どちらかというとそう思う 4点
そう思う 5点
全くそう思う 6点
で点数をつけてください。
【質問】
- 世の中には尊重すべき規律があり、人はそれに従うべき
- ものごとは納得いくまでつきつめたいと思う
- 自分がやっていることは正しいという自信がある
- 人の気持ちを間違って理解していたということがよくある
- 性善説よりも性悪説の方が正しいと思う
- 言いたいことははっきりと主張すべきだ
- たとえ小さな不正でも見逃されるべきではないと思う
- 好き嫌いがはっきりしているほうだ
- 周りの人が自分のことを何と言っているのか気になる
- 自分で決めたルールを大事にしている
- 人の言うことをそのまま素直に聞くのが苦手だ
- 後先考えずに行動できるタイプだ
その点数を、下記のように足して下さい。
A. ①+⑦
B. ②+⑧
C. ③+⑨
D. ④+⑩
E. ⑤+⑪
F. ⑥+⑫
その点数が一番高いのがあなたのタイプになります。(次点で高いタイプも把握しておきましょう)
Aが一番高い:公明正大タイプ
Bが一番高い:博学多才タイプ
Cが一番高い:威風堂々タイプ
Dが一番高い:外柔内剛タイプ
Eが一番高い:用心堅固タイプ
Fが一番高い:天真爛漫タイプ
下記では、タイプごとの怒りとの付き合い方を解説します。
上記テストは簡易版です。
完全版のテストを受けたい方は『はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』を買うと1人1回受ける事ができます。
こちらの書籍はkindle unlimitedで無料でダウンロード可です。
公明正大タイプ
正義感や信念をしっかり持ち、それを貫くタイプです。
【怒り方の癖】
正義感が強く、自分の信念を曲げないため、自分が間違っていると思うことを他人がしていると必要以上に介入しようとする。
例)
電車内でのマナーにうるさい、芸能人の不祥事に腹が立つ
【怒りの改善方法】
- できること or できないこと
- 重要なこと or 重要でないこと
イラっとくることに対して、こういった視点で考える癖をつける。
例①)電車内でマナーが悪い人がいた場合
○できること:その人に注意すること
×できないこと:その人を根本から変えること
重要度 低:車両を変えれば解決できるしもう二度と会わない人間
→怒るだけ無駄、余計なトラブルのもと
例②)芸能人の不祥事
○できること:周りの人間に非難の言葉を聞いてもらう
×できないこと:本人に直接注意する、本人を根本から変える
重要度 低:自分の私生活になんら影響が無い
→腹を立てても全く意味がない
一例ですがこのような解釈をすることで、怒っても無駄だと思えるようになります。
博学多才タイプ
好き嫌いがはっきりしていて、何事にも白黒つけたがる完璧主義タイプです。
【怒り方の癖】
白黒つけられないグレーな事柄や、優柔不断で判断が遅い人に対してイライラする傾向にある。
例)好き嫌いをはっきり言えなかったり優柔不断な人が許せない
【怒りの改善方法】
物事を白か黒ではなく、主観・客観・事実、という別の視点からも見るようにする。
例)一緒に食事に行ったが連れのオーダーが決まらない
主観:値段を気にするフリして暗におごれって言っている?
客観:ただ単に気分が決まらなくて迷っている
事実:実はダイエット中でカロリーを気にしていた
主観は一例ですが、このように色々なケースが考えられます。
物事を多方面から見るようにすれば、寛容さが身につきイライラする機会が減っていきます。
威風堂々タイプ
プライドが高く、目立つことが好きな自他共に認めるリーダータイプです。
【怒り方の癖】
自分が邪険に扱われたり、軽んじられたりすると怒る傾向にある。
また、自信過剰のため、思い通りにならないことに対してイライラしやすい。
例)誰かに対し「自分の思い通りにしてくれない!」と怒る
【怒りの改善方法】
「権利」「義務」「欲求」を混同せずにちゃんと区別して物事を考える。
例)自分は残業だが部下は定時で上がろうとしていて腹が立つ
- 「上司が残業しているのだから部下も残業する義務がある」と考えるのは単に「自分が残業だから部下にも残って欲しい」という「欲求」だと認識する
- 部下は定時に退社するという「権利」を持っている
このように、自分の欲求を中心に物事を考えると「自分の思い通りにならない!腹たつ!」という考えに繋がるので、相手の欲求や権利も考えるようにしましょう。
外柔内剛タイプ
柔らかい雰囲気で穏やかに見られることが多いが、内には強いものを秘めているタイプです。
【怒り方の癖】
人から色々なことを無遠慮に頼まれてしまうことが多く、それがストレスになりやすい。
また、自分の考えが根拠もなく正しいと思っているため、自分が思っていたことと違うとイラっとしてしまう傾向にある。
例)
「これが常識」「普通はこうする」という自分の思い込みから外れた事柄に対してイライラする
【怒りの改善方法】
「思い込み」と「事実」を切り分ける練習をする。
例)
思い込み:A市に行くには飛行機しかない!
事実:A市には電車を乗り継いで行く事も可能だった
このように、事実が思い込みと異なることは多々あるため、思い込みと事実を切り分けて考えられるようになりましょう。
そうすると、何事に対しても中立的な考え方ができるようになります。
用心堅固タイプ
周囲の人と衝突を避ける賢さと用心深さがあり、勝てない勝負はしない戦略家タイプです。
【怒り方の癖】
「あの人は〇〇だ」「自分なんて△△だ」といったようにレッテルを貼る傾向があり、それによって人間関係がスムーズにいかずストレスを感じることが多い。
例)
提案書を却下された→どうせ自分が嫌われているから却下されたんだ…
【怒りの改善方法】
・人をよく見る
・自分自身も他人に心を開く
これらを実践する事で、人と適切な人間関係を作ることができ、自分という人間も理解してもらえます。
適切な人間関係ができあがるとストレスを感じる場面も減ってきます。
「またどうせいつも通り失敗する…」という感情に支配されそうなときは、過去を振り返り、いつもとは違う「例外」を見つけましょう。
そうすると「今回は違うぞ」という感情になるため効果的です。
天真爛漫タイプ
思ったことを思った通りに発言し行動する、統率力に長けており強いリーダーシップを発揮するタイプ。
【怒り方の癖】
自己主張が強く、自分の意見が通らない場面で大きなストレスを感じる。
そういった場面では自分の意見に従わない人に対して強気な態度で説得したり、無理やり従わせようとする傾向にある。
例)
何がなんでも自分の主張を通そうとし、相反する意見の人には誰に対しても反抗的・批判的になってしまう
【怒りの改善方法】
常に自分が「主役」でいたいタイプなので、相手の気持ちに立って「脇役」の立場で物事を考えてみる。
例)
・自分の主張を100%通したら相手はどう思うか?
・自分の主張を70%にしたら?
・自分の主張を50%にしたら?
↑このような目線で考え、相手の気持ちを察するトレーニングをすることで周りの人間に対して寛容な態度が取れるようになります。
ステップ③:怒りの傾向・程度を知る
怒りには、傾向や程度があります。
- 怒りの「強度」
- 怒りの「持続性」
- 怒りの「頻度」
- 怒りの「攻撃性」
- 怒りの「耐性」
これらの傾向や程度にそった対処法をお伝えします。
①強度
言い換えると、怒りの大きさです。
怒りの強度が高い人は、一度火がつくと必要以上に強く怒る傾向にあります。
反対に強度の低い人は、怒ったとしても強い怒りにはならない傾向にあります。
- 自己主張が強い
- ふるまいが乱暴
- 高圧的な態度
【強度の高い怒りへの対処法】
①怒りのレベルを記録する
穏やかな状態を0、人生で1番強い怒りを10として、今の怒りはどれぐらいか?と考える。
そうすることで、自分が本当のところはどれほど怒っているのかが相対的にわかるようになり、必要以上に強く怒る事がなくなる。
②怒りを表現するボキャブラリーを増やす
「ムカつく」「ウザい」「キレる」など、怒りの表す言葉をいくつか持っておき、今の自分の怒りを表現するにはどの言葉が適切か?と考える。
①と同様に、言葉で表現するとどれぐらいの段階の怒りなのか?ということがわかれば必要以上に強く怒る事がなくなる。
②持続性
言い換えるとどれだけ根に持っているかです。
怒りの持続性が高い人は、ずっと昔のことを根に持ち、それを思い出すたびに怒りが再発しているようなタイプです。
反対に持続性が低い人は、一度怒って発散させてしまえば次の瞬間にはケロッとしているようなタイプです。
- プライドが高く完璧主義
- 神経が細やかで気配り上手
- つい考え込んで、自分の世界に入りがち
【持続性が高い怒りへの対処法】
①利き手と逆の手を使い、今に集中してみる
怒りを引きずってしまう人に有効なのは、今この瞬間に集中する事。
余計なことを考えないために、1日のうちで時間を決めて、利き手と逆の手を使って生活してみると「今に集中する」という感覚をつかめてくる。
②歩きながら瞑想する
もちろん座って行う本来のかたちの瞑想でも可。
歩きながら行う場合、足の裏に意識を集中させて、どのように足の裏が地面に着地してどのように離れるのか、右足・左足とフォーカスしていく。
雑念にとらわれやすい歩行中に行うことで「今」に意識がむくようになる。
③頻度
つまり頻繁に怒るということです。
頻度が高い人はいつもイライラしており、低い人は不快な事があっても「たいしたことないか」とスルーできます。
- せっかち
- 他人に厳しい
- 気分転換が不得意
【頻度が高い怒りへの対処法】
・リラックス法を複数用意しておく
気分転換ができないとイライラが溜まる一方なので、いつでもどこでもできる気分転換を複数用意しておく。
週末にできるもの、通勤途中にできるもの、オフィスでもできるものなど複数のバリュエーションを持つ。
複数持つことで「気分転換ができずに余計イライラが溜まる」といった事態を防げる。
④攻撃性
つまり怒りを向ける矛先の話です。
怒りが向かう先は「他人」「自分」「モノ」のいずれかです。
- 矛先が他人:防衛本能が強い
- 矛先が自分:いい人で罪悪感を抱えがち
- 矛先がモノ:普段は優しくて忍耐強い
【攻撃性が高い怒りへの対処法】
・怒りの対象から距離を置く
スポーツでも趣味でもなんでもいいので、自分の好きなことに打ち込む。
怒りの感情に心を占拠されないように、怒りの対象から物理的・精神的に距離を起き、リラックスした時間を持つようにする。
⑤耐性
言い換えると怒りやすさです。
耐性が低い人は、自分以外の価値観をなかなか受け入れられずにすぐストレスを感じます。
耐性が高い人は、他人の言動や価値観を寛容に受け止める事ができます。
- 感受性が豊かで繊細
- 確固たる意見を持った自信家
- 『あなたのため』が口癖
【耐性が低い怒りへの対処法】
・自分と違う価値観を受け入れる
0点か100点かで測るのではなく「自分の価値観と70点ぐらいは同じ」「50点ぐらいは同じ」といったように、一部でもいいので自分と同じ部分を見るようにする。
そうすることで、人や物事に対する許容範囲が拡大され、耐性を大きくすることができる。
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日々の生活でおこなう対処法3点
ステップ①〜③まで理解できたら、最後に日々の生活でイラっとする場面に遭遇した際にその都度行う対処法を3点お伝えします。
6秒待つ
諸説あるものの、怒りのピークは6秒程度と言われています。
その6秒をやり過ごせば、少なくとも反射的に怒ってしまうことは避けられます。
方法は自己流でも構いませんが、いくつか例を挙げておきます。
- 「大丈夫」「落ち着け」などのあらかじめ決めておいた言葉を唱える
- 手をグーパーさせたり腕を回したりして気を逸らす
- 自分の怒りに点数をつけ客観視してみる
このようなことをしていれば6秒はあっという間に過ぎます。
自分を中心に三重丸を描く
自分に一番近い丸が「許せるゾーン」
その次に近い丸が「まあ許せるゾーン」
一番遠い丸が「許せないゾーン」
このような三重丸を頭の中にイメージし、物事や人物の行動がどのゾーンにいるかを考えましょう。
「“許せるゾーン”にいるな」
「ギリギリだけど“まあ許せるゾーン”だ」
といったように考えることで、怒る必要が無い時には怒らないで済み、逆に怒るべきところではしっかりと怒る事ができるようになります。
問題をカテゴライズする
- 自分で変えられる問題なのかどうか
- 重要な問題かどうか
これらを意識して問題をカテゴライズします。
そうすると下記4パターンに分かれます。
- 自分で変えられる+重要である
- 自分で変えられる+重要では無い
- 自分で変えられない+重要である
- 自分で変えられない+重要では無い
それぞれ対処法をまとめると、
【①のパターン】
今すぐにとりかかる(その際に、期限とどの程度変わったら納得できるかを決める)
【②のパターン】
余裕がある時にとりかかるべき問題で今考えることでは無いので、考えないようにする
【③のパターン】
変えられない現実を受け入れるしか無い(渋滞や電車の遅延など、重要な問題だが自分では何もできないので、先方に連絡を入れつつ音楽を聴いて気を紛らわす等するしかない)
【④のパターン】
完全に放っておいて頭から排除する
アンガーマネジメントを習得して人生を変えよう
長くなりましたが、以上です。
怒りという感情は、人生を壊す事ができる唯一の感情と言う人もいます。
うまく怒りと向き合い、怒るべき時には「怒ろうとして怒る」、怒る必要のない時には怒らない、といったことができるようになれば、間違いなく人生は好転するはずです。
イラっとする度にこの記事の内容を思い出し、それを実践してみてください。
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まとめ
・怒りは抑えるのではなくコントロールする
・怒りは必ずコントロールできるようになる
・怒るべきときには激昂せず“怒ろうとして”怒る
・ついカッとなってしまっていつも後で後悔する…