- よく聞く“分散投資”のために投資信託を買っている
- 証券会社の担当者のオススメをとりあえず買っている
- 分配金が嬉しいから毎月分配型を買っている
- 分配金利回りにはこだわっている
このような感覚で投資をしている方、ぶっちゃけ危険信号です。
ソースは大手証券で8年間営業をしてきた僕。
この記事では、
- 基本的に投資信託をオススメしない理由
- 毎月分配型の投資信託は本気でオススメしない理由
- 投資信託の“分配金”に騙されるな
- じゃあどういう投資信託がオススメなの?
こういった内容で解説します。
「分散投資」「分配金」といった言葉につられて購入した経験がある方は必見です。
なお、「=投信はクソ!」みたいな結論ではなく、注意するところを注意して賢く選ぼう、ということを伝えたいと思っています。
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目次
基本的に投資信託をオススメしない理由
結論から述べると、投資信託をオススメしない理由は6点です。
- 買付時手数料が高い
- 信託報酬がバカにならない
- 下手したら解約時にも手数料がかかる
- 手数料がこれだけかかってベンチマーク以下
- 売りたい時に売らせてもらえない
- 分配金というクソシステム
順番に解説します。
①買付時手数料が高い
※手数料は2019/8現在の消費税率を含んで表示
体感ですけど、世の中の投信の90%かそれ以上の割合で買付時に1.08%〜3.24%の手数料が取られます。(多くは3.24%)
これぶっちゃけめちゃくちゃ高いです。
運用パフォーマンス▲3.24%スタートですよ?
そして「見直し」という名目で別の投資信託に乗り換えたらまた3.24%取られます。
実は、大手証券の担当者を通じて買ったら1.08%〜3.24%の買付時手数料が取られる投信と全く同じものがネット証券では手数料0%で販売されていることがある。
もし、魅力的な投資信託があったら、一度ネット証券の投信ラインナップも覗いてみるといいかもしれません。
②信託報酬がバカにならない
信託報酬とは、投信の管理費みたいなもので、保有し続ける限り毎日、日割りで取られ続けている手数料です。
大体の投信が信託報酬1.5%-2.0%程度です。(1.8%ぐらいが多いイメージ)
つまり、運用成果はどうあれ、信託報酬の分だけ元本は必ず下がっていきます。
例えば信託報酬1.8%の投信に100万円投資した場合、投信自体の値動きが全く0だったとしても、1年後には18000円マイナスです。
買付時手数料が3.24%だった場合、1年目の運用収益は▲5%強からスタートするわけで、5%値上がりしてようやくプラマイゼロです。
買付時手数料は買付時だけですが、信託報酬は毎年かかるので、上記の例でだと10年保有したら18%の手数料がこっそりとかかっている事になります。
ホントにバカにならないので、買う前にきちんと認識しましょう。
③下手したら解約時にも手数料がかかる
投信はものによって、解約時にも0.1%-0.5%の信託財産留保額というものが差し引かれます。
証券会社の営業員はこれを“手数料”とは言いませんが、購入者からすれば資産から差し引かれるもので、手数料となんら変わりません。
ここでは詳細は省きますが、カバードコール戦略という仕組みで、名前に“α(アルファ)”がつく投信に多いです。
買付時に確認しましょう。
④手数料がこれだけかかってベンチマーク以下
ベンチマークというのは、投信ごとのパフォーマンス目標です。
投信はファンドマネージャーが投資対象を調査・選定していてその分コストがかかっているというのが建前ですが、それでいてパフォーマンスが市場平均以下だったら価値がありませんよね。
日本株に主に投資する投資信託であれば、日経平均以上にパフォーマンスが上がっていないのなら、投資する価値はありません。
高いコストを払って投資して日経平均以下なら、はるかに安いコストで日経平均に投資(ETFや先物等で)した方がはるかに良いです。
上述の例だと購入1年目のコストが約5%(買付時手数料3.24%+信託報酬1.8%)、翌年以降は1年毎に1.8%程度コストがかかっている中で、そのコストを埋め合わせてさらにベンチマーク以上のパフォーマンスを上げている投信は、果たしてどれぐらいあるでしょうか?(僕はあまり見たことありません)
2017年〜2018年に流行った投信のテーマに“IoT、ロボット関連”がありましたが、ぶっちゃけFANGと呼ばれる米国個別株に投資していれば、コストは安くパフォーマンスはさらに上がっていたと思います。
裏を返せば、天才ファンドマネージャーが運用する、ベンチマークをはるかに上回る投信なら、それだけのコストをかける価値はあると思います。(僕はあまり見たことありません)
「本当にそこまでのコストをかけてまで投資信託という形で投資をする意味があるのか?」
これを投資する前にもう一度考えて欲しいです。
⑤売りたい時に売らせてもらえない
担当に投信の解約の電話をした際に、妙に渋って思いとどまるように説得された経験ってありませんか?
これはなぜかというと、上記②の信託報酬があるからです。
つまり、証券会社は顧客が投資信託を保有し続けてくれるだけで自動的に収益が上がります。
とは言え、売りたいという顧客の意思を受け入れないのは法令違反なので、売りたい時にはとにかく“売りたい”という強い意思を示せばOKです。
最近は消費者センターへのクレームが相次いだ影響か、売り止めも少なくなっている印象です。
⑥分配金というクソシステム
これは詳しくは次の項で話しますが、分配金というのは一言で表すと、あなたの意思とは無関係に運用資産の一部を勝手に売り崩されているのと同義です。
これがわかっておらず、分配金が多い=良いファンド、分配金が少ないor減る=悪いファンド、と短絡的に考える人が多すぎます。(半分は正解ですけど)
ここ何年かで毎月分配型の投信も下火になってきて、それに伴い増えてきた“実績分配型”という、値上がりしたら分配金出します、といったタイプならまだマシです。
分配金の多寡にだけ注目して投信を選ばないように注意しましょう。
毎月分配型の投資信託は本気でオススメしない理由
これは断言しますが、個人で毎月分配型に投資しているのは99%が金融知識の無い“情弱”だと思います。
分配金は預貯金の利息とは全く性質が異なります。
元本とは別に支払われるものではなく、元本を売却して支払われるため、支払った分だけ元本は値下がり(=分配落ち)します。
つまり毎月分配型というのは、上がっていようが下がっていようが買った翌月から元本の一部を売却して「分配金です!」っていってあなたに支払っているのと同義です。
2-3%程度の手数料をかけて投資したものが損益関係なく毎月払い戻されているわけですが、それ嬉しいですか?
手数料を払って投資を任せたのに、毎月どんどん払い戻されてくるわけですが。。
そして毎月分配は、
- 下がっているのに分配金が出る=下がった安いところで一部を売却している
- 上がっている時に分配金が出る=市場がせっかく上がっているのに分配金として支払った分だけ元本は小さくなるからその後の値上がりの享受率が減る
というわけで、どう転んでも投資効率は悪くなります。
強いていうなら、買ってから一直線に下がっていくような状況なら「毎月少しでも分配金として受け取っといて良かったですね」って事になりますが、これなら何もしないほうが100万倍マシなわけでして…。
再投資コースも、上がっていた場合は勝手に毎月益出しされているのと同じなのでやはり微妙です。
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投資信託の“分配金”に騙されるな!
この上の項目でほとんど話してしまいましたが、分配金はあなたの資産の一部を取り崩しただけです。
↑これの右側が正しい分配金のイメージなので、間違っていた方はこれを機に改めて下さい。
仮にあなたがAという株を10000株買ったとします。
これを証券会社が毎月100株ずつ勝手に売却し現金化して、あなたに「分配金です」って言って渡しても、全く嬉しく無いですよね?
毎月分配型がやっていることはほぼこれと同義です。
それでも自分のニーズに合っている場合は毎月分配型も選択肢の一部として考えても良いと思いますが、きちんと仕組みを理解した上で投資して下さい。
じゃあどういう投資信託がオススメなの?
じゃあどういう投信ならいいの?という疑問に答えます。
- ノーロード(買付手数料タダ)のもの
- 毎月分配型では無いもの
- 信託報酬が1%以下(低い方がもちろんいい)
- 堅実にいくならインデックスファンドで十分
- テーマ型の投信の場合は手数料を加味し、ベンチマークと比較してよっぽど成績が良ければ検討
人によって価値観は変わると思いますが、この5点を参考に選べば手数料でカモられたり、よっぽどハズレの投信を買ってしまったりは避けられると思います。
簡単に説明します。
①ノーロードの投信
今は手数料ゼロの投信でもバリュエーションが豊富です。
まずは投資してみたいものがノーロード投信であるのかどうか探してみましょう。
②毎月分配型では無いもの
上述の通りで、上がっても下がっても得はしないので毎月分配はやめましょう。
全く分配金が出ないものか、年に1-2回分配のものを再投資コースにするのがオススメです。
「上がってる分ぐらい現金でもらって喜びたいよ…」って場合には、値上がりしてる時に自分で一部売却して現金化すればOKです。
③信託報酬が1%以下
低いほど良いですが、1%以上だともう高過ぎるなーって感じます。
④堅実にいくならインデックスファンドで十分
新興国〜とか、ハイイールド債〜とか、尖ったものじゃなく、堅実に長期投資できればいい!という考えなら、インデックスファンドで十分です。
インデックスファンドとは、
- 日本株に投資をしたい→日経平均に連動したもの
- 米国株に投資をしたい→NYダウやS&P500に連動したもの
といったように、その投資対象の代表的な指数に連動しているものです。
ぶっちゃけこれでも十分運用になります。
⑤テーマ型の投信の場合
どうしても魅力的なテーマがあり、投信経由でしか簡単には投資できないところ(インドや中国の株とか)だったら、手数料がかかる投信を選ばざるを得ないこともあります。
その場合でも、その国のインデックスと最低でも同水準のパフォーマンスでないと意味がないので、せめてそれぐらいは調べてから投資しましょう。
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おわりに
ここまで読んでくれてありがとうございます!
投資は自己責任なので、無理なく取り組みましょう。
ただし、しっかりと知識をつけ、良し悪しが判断できるものへの投資をオススメします。
個人の方の金融リテラシーが少しでも向上するような記事を今後も書いていくので、少しでも参考になれば幸いです。
まとめ
・投信は買付時手数料だけでなく、裏でかかっている信託報酬や信託財産留保額にも注意する
・まずはノーロードでないか探してみる
・毎月分配型はなるべく選択肢から外す