・ネット証券と大手証券ってどう違うの?
・ネット証券と大手証券ってどっちがいいの?
・大手証券はプロの集団だから安心して任せられる?
こういった疑問に答えます。
証券会社に8年勤めた実体験で話します。
大手証券で運用する場合、必ず知っておいて頂きたい注意点も解説します。
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目次
ネット証券と大手証券の違い
まずは主な違いを挙げます。(逆にこれ以外はほぼ大差無いと思って下さい)
【担当者】
ネット:つかない
大手 :つく
【売買手数料】
ネット:激安
大手 :高い
【IPO主幹事】
ネット:少ない
大手 :圧倒的に多い
【IPOの配分】
ネット:抽選(主に)
大手 :大口優先
【商品の種類】
ネット:普通
大手 :多岐に渡り多い
【社債の引き受け】
ネット:少ない
大手 :圧倒的に多い
【相場資料の充実度】
ネット:普通
大手 :かなり充実
【注文の種類】
ネット:豊富(逆指値やIFD等)
大手 :少ない
【注文方法】
ネット:自分のみ
大手 :自分 or 担当者に電話
主にこのような違いがあります。
これらを踏まえると、大手証券の主なメリットは
- 担当がつく
- IPO主幹事が豊富
- 社債の引き受けが多い
この3点ではないでしょうか。
ネット証券は当然の事ながら情報収集、銘柄選定、投資判断、受発注、保有銘柄の監視などを全て自分の力で行わないといけません。
大手証券で担当をつけると、投資判断以外は“ある程度は”担当者がやってくれます。
また、担当者は毎日相場を見ているため、相場が動いた時や保有資産が値上がり(または値下がり)した時などにタイミングよく連絡をもらえることもあります。
そして、配分の有無は別にして、IPOや社債の主幹事はほぼ100%大手証券の方が強いです。
では、大手証券で担当者が付く場合の注意点を挙げていきますので、大手証券とはこれらを踏まえて賢く付き合いましょう。
大手証券で担当者が付く場合の注意点
“特別なお客様”は預かり5,000万円以上から
営業員にとって“最優先にしたい特別なお客様”は大体預かり資産5,000万円以上のお客様からです。(低く見積もっても3,000万円以上)
ごく稀にですが「自分は300万円も預けているのだから特別な客だろう」と誤解されている方がいます。
もちろん邪険に扱ったりはしませんが、本当に特別扱いされるほどの資産のレベルは普通の方の想像よりもはるかに上です。
そのため、預かり資産数千万円以上で無い限り、過度に営業員に期待しすぎ無い方がご自身のためです。
しっかりと自分自身でも管理を怠らず、資産評価等は随時確認するようにしましょう。
全顧客の資産を完璧に把握はできていない
営業員は平均で300-500口座ほどのお客様を抱えています。
そのため、担当する顧客全員の資産の現状を適宜把握し、綿密な情報提供やアフターケアを行うのは不可能に近いです。
上記で解説したように5,000万円規模で預けているのであれば、口座内容に異変があったら営業員も慌てて連絡してくると思います。
ですがそれ以外だと、ぶっちゃけ何かあっても気付かない事がしょっちゅうなので、繰り返しになりますが担当がついていても自分自身での管理は怠らないようにして下さい。
株(特に外国株)の短期回転売買に要注意
薄利ですぐに利益確定の提案をされたり(ほとんどの場合は他の銘柄への乗り換え提案もセット)、損のときはそれなりの幅の損切り提案をされたり(ほとんどの場合は他の銘柄での挽回提案もセット)することが高頻度で続いた場合は注意が必要です。
何が注意かというと、まず儲かりません。
ネット証券と違い、大手証券の株の手数料は場合によっては10倍以上高いです。
特に外国株式で、証券会社との相対取引での手数料(厳密に言うと昨晩の終値からの乖離率)は売買の往復で5%ほどだと思います。
にも関わらず「1%程度利益が出たから利益確定して他の銘柄に乗り換えて〜」みたいな事をやっているといつか必ずドカンとやられて挽回不能になります。
ただ、営業員に入る手数料がめちゃくちゃ高いので、営業員は短期売買をやりたがりますので注意して下さい。
本当に良い銘柄で、特に入り口と出口での手数料が高い外国株式などの場合は、なるべく中長期での保有が望ましいでしょう。
逆に投信は短期売買できない
株はそこまで厳しく規制はされていませんが、投信は金融庁から短期売買に関しては厳しく制限されています。(一昔前に投信の短期売買による手数料稼ぎが横行したため)
具体的には、(少なくとも僕が在籍していた2018年時点では)投信を購入してから1年以内の売却の勧誘が制限されています。
もちろん顧客側から売却意向を強く主張すれば売ることはできます。
ただ、裏を返せば、値上がりしている場合や、状況が変わり正直もう売った方が良いような場合でも、営業員の方から売却提案ができないため何も言ってきません。
「売った方がいいかなぁ?」と相談しても、そこで「はい、そう思います」と言ってしまうと勧誘だと見なされてしまうため、おそらく歯切れの悪い回答が返ってくるか「お客様のご意向通りにご判断なさるのがよろしいかと思います」といった回答が返ってきます。
投信の売買はそのあたりも踏まえて判断をするように注意して下さい。
IPOの配分は抽選じゃない
上場初日で大きく利益が出る可能性が高いため人気のIPOですが、担当者経由で申し込む場合は抽選ではありません。
大口のお客様や高属性のお客様優先で配分されます。
そのため、皆さんが欲しがる「マザーズ、小型、IT系」の三拍子揃った(もしくはそのうち1つか2つ揃った)熱いIPOの配分の可能性は、“特別なお客様”で無い限りはほぼ0だと思って下さい。
めげずに何回も申し込んでもぶっちゃけ無駄です。
熱いIPOを手にいれる方法は、
- 大手証券のネット経由で申し込む
- SBI証券で申し込む(ネット証券の中ではIPOの主幹事になりやすい為)
が現実的だと思います。(大手のネット経由、もしくはSBI証券のIPOの配分は抽選で決まる為)
また、SBIは抽選に外れてもポイント(そのポイントを使うとIPOに当選しやすくなる)が貯まるので、それをある程度貯めて抽選に臨むと当選確率がアップするといったシステムも高評価です。
“IPO客”はバレる
IPO客とは、資産家のふりをして新規に口座開設をしに来て、大口取引を匂わせながら結局IPOの申し込みしかしない顧客の事です。(もしくは既存顧客でIPOの申し込みしかしない顧客の事)
インターネットのサイトか何かに、“資産家の新規口座”が証券会社の営業員なら喉から手が出るほど欲しいものだと書かれていたそうで(それ自体は事実ですが)、たまに店頭に現れます。
大抵が若めの方で、「相続した資産が1億ある」と言いながら口座開設して、「IPOくれたらお宅で本格的に取引する」と言ってIPOの申し込みばっかりしますが、残念ながら一生配分はありません。笑
すごく気持ちはわかるのですが、IPOは「超がつく本当のお金持ち」か「ネットの抽選で運良く当選する」以外には手に入れる方法はありません。
資産家のふりして無駄な時間を過ごすなら、色々な証券会社のネット経由で抽選の申し込みをした方がはるかに有意義だと思いますので、考えていた方はお気をつけ下さい。
ぶっちゃけそんなに株の知識は無い
これは本当にぶっちゃけた話ですが。笑
僕自身、退職して個人投資家をやってみて思いましたが、本当の意味での知識や相場観って自分のお金を運用しないとつきません。
証券会社の営業員たちは、ほとんどが「金融商品のプロ」ではなくて「金融商品を販売するプロ」だなと感じました。
ぶっちゃけ上がる株なんてわかりません。(自分の相場観とかが無くても本部のアナリストが推奨している銘柄をそれっぽく提案すれば買ってもらえますので…)
もちろん全員ではなく、この人自分で運用した方が稼げるんじゃないか?ってレベルで知識や経験が豊富な営業員も中にはいます。
ここでお伝えしたいことは、最もらしいセールストークを過信せずに、自分でも納得のできるものに投資をしましょう、ということです。
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おわりに
ここまで読んでくださりありがとうございました!
以上の内容を踏まえた上で付き合えば、大手証券も上手く利用できると思います。(色々言いましたが、昔と違い最近の証券会社はかなりクリーンになってきています)
ただ、やはり主戦場はネット証券に移っていくと思いますので、ご自身でも色々と勉強し最低限の金融知識はつけておかれることをオススメします。
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まとめ
・大手証券はメリットとデメリットを理解し正しく付き合う
・自分でも資産の管理を怠らない